葉月のスキズキ

アクセスカウンタ

zoom RSS ノストラダムス(その六)

<<   作成日時 : 2007/09/06 11:44   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

ナチスによる発禁処分というと、セム系思想の汚染排除かと思う読者も多いかもしれないが、実際は第三帝国の戦略をノストラダムスが具体的に書き残しているとヒトラーが本気で心配していたせいだったらしい。

ヒトラーはどうも理解しにくい人物で、彼の第三帝国が千年続くと本気で信じていたふしもありしかもおそらく何か正しいことを行おうと努力していたことも確かなのだが、実際何をしたかったのか判然としない。質素でまじめな生活態度で知性も人並み以上にあったことも疑いようもないのだが神秘思想に躍らせれていたようにも見える。私利私欲にかられていたり不真面目な人間はそれほど周囲に迷惑をかけたりしないもので、まじめで正しいことをしようとする者ほど迷惑だったりする事例は往々にしてある。まあいずれにしてもナチズムは何でもありな思想だけど。

ともあれ独逸のノストラダムス禁書を受けて連合国側の情報部もノストラダムス研究に人員を割くことになった。冗談ではなく真剣な話である。当時大日本帝国軍の暗号が連合国にすっかり筒抜けになっていたことは有名な事実だが、世界最高峰だったこの暗号解読部隊も『百詩編』の解読に借り出され徹底的にテキストを研究することになった。作者冥利につきる話ではある。ありとあらゆる可能性を求めながら最高級のスタッフが一冊の詩集を文字通り隅から隅まで精読してくれるのだ。ご承知の通り米国人は戦争ともなると急に勤勉になったりもする。結果的にはノストラダムスの暗号は解かれずに終わる。これを額面通りに受け止めるかノストラダムスの認識力が人智を超えていると判断するかは各々の自由である。
この大戦の影響で元々欧州にしかいなかった“ノストラダムス研究家”が戦後合衆国でも増加することになった。そのため二十世紀後半はノストラダムス本の出版点数は大きく飛躍した時期だと言える。

そんななか1981年に本国(?)仏蘭西でベストセラーが生まれる。ジョン・シャルル・ドゥ・フォンブリュンヌの『歴史家預言者ノストラダムス』。
出版からしばらく経ったころ、仏蘭西での社会党政権誕生の直後にローマ法王ヨハネ・パウロ2世が狙撃されるという事件があり、それがこの本で予言されているという評判が立ったため、仏蘭西だけでも百万部を越える大ベストセラーとなった。作者フォンブリュヌはノストラダムスの故郷にも近いプロヴァンスの美しい古都エクス在住の中小企業の社長さんである。小金が自由になる身分なので、日本だったら何冊も句集を出版し大手の俳句結社でいい感じのところまで行くようなタイプではないかと思われる。
ひとことで百万部と言うが、仏蘭西ではこれは信じられないような数字だ。2万部も売れればベストセラーというお国柄。仏蘭西に限らず欧州各国そうである。英語圏ではまたちょっと違うが、欧州には日本にあるような巨大な出版社はない。本が出るとすれば経済的な利益を目的にする場合はほぼ皆無で純粋に知的な興味によるものか純粋に名誉欲にかかわっているかである。東アジアの国々のような大きな読書人口はなく、字が読めない人も多い。

ローマ法王狙撃という事件は日本で想像するより遥かに精神的な衝撃が大きい事件であり影響力も大きい。そんな大事件が預言されていたとなれば大きな反響を呼ぶのも無理もない話で、このフォンブリュンヌの本は短期間に十ヶ国語以上の言葉に翻訳出版された。

(つづく)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ノストラダムス(その五)
1668年にアムステルダムで出版されたジャン・ジャンソンの本ほどのベストセラーはなかなか現れないにしろ、その後も欧州ではノストラダムス本は長期間に渡って次々に出されることになった。 ...続きを見る
葉月のスキズキ
2008/03/20 21:00

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ノストラダムス(その六) 葉月のスキズキ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる